高知県公立大学法人規程集

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高知工科大学学士課程カリキュラム・ポリシー~教育課程編成・実施方針~(令和6年度入学生~)
【学士課程全体】
 「人が育つ大学」として、学生が主体的・能動的に学び、成長していくことを重視した教育課程を編成します。
 集中的受講による教育効果の向上と留学をはじめとする学外学修の促進を狙う「クォータ制」を基本としているほか、学生の自主性を尊重する「全科目選択制」、自学・自修を促す「専門科目の時間割上の集中配置」、「1年次からの専門科目履修」は、本学カリキュラム編成上の大きな特徴です。
 また、「専攻・副専攻制」によって、専門分野に加え、関連する領域を理解する学際的な学びを促します。
〇カリキュラムの構成
 教育課程は、全学群に共通の「1共通科目」と各学群が提供する「2専門科目」で構成されています。
1 共通科目
 「人文・社会科学等科目」と「自然科学等科目」は、社会人として必要な知識や基礎力を培うとともに、豊かな人間性と創造性の涵養を目指す科目群で、それぞれ「基礎科目」と「教養科目」に分類しています。
(1)人文・社会科学等科目
 ①基礎科目
  「英語科目」とキャリア形成支援系の「人材育成科目」で構成する科目群です。英語は、読む、書く、聞く、話すことができる学習とともに、活きた英語に触れる機会を提供します。人材育成科目では、入学時の導入教育から、自己管理力・生涯学習力を高めるキャリア教育科目を体系的に配置します。
 ②教養科目
  法律、歴史、文化・芸術分野のほか、英語以外の外国語科目等を提供します。
(2)自然科学等科目
 ①基礎科目
  「数学科目」と「情報処理科目」を提供します。数学は、習熟度に応じた段階的な学習プログラムにより、専門科目の理解に必要な数量的スキルを身に付けます。情報処理科目は、情報通信技術の基礎を理解するとともに、当該技術の活用や活用する際のモラルなどの情報リテラシーを身に付けます。
 ②教養科目
  専門科目を学ぶうえで必要となる物理学、化学、生物学等の科目を配置します。
2 専門科目
 「専門基礎科目」、「専門発展科目」、「専攻領域科目」に大別し、各学群・専攻において学位授与と専攻修了に必要な取得単位数を設定するとともに履修モデルを提示することによって体系的な学修を支援します。また、工学系の4つの学群については、「工学系共通科目」を配置します。
(1)工学系共通科目
  工学系の4つの学群については、技術者に求められる素養を育む科目を配置します。
(2)専門基礎科目
  それぞれの分野の根幹となる基礎的な科目を配置します。
(3)専門発展科目
  各自の興味や関心に応じたより深い探求心に応えられる応用的な科目を配置します。
(4)専攻領域科目
  より高度で先端的な科目や学士課程の集大成となる卒業論文に向けた科目を配置します。
〇教育の方法
 ・講義、実験、演習、フィールドワーク等を組み合わせた授業を提供します。
 ・英語科目、数学科目については、習熟度別の少人数クラスで授業を実施します。
 ・学生による授業評価を実施し、科目とカリキュラムの改善を図ります。
〇学修成果の評価
 ・成績は、試験のほか、レポート、発表等を総合的に勘案して評価します。
 ・科目毎の具体的な評価方法については、シラバスで公開します。
 ・GPAに基づく成績評価を実施します。
 
■システム工学群
 大学全体の共通科目に加え、工学の基幹をなす機械工学、電気電子工学、建築土木工学に関する知識を横断的に学修できる専門科目を提供します。
〇カリキュラムの構成
(1)工学系共通科目
  工学全般の基礎理論・基礎概念を深く理解するとともに俯瞰的な視点を獲得する科目を配置しています。
(2)専門基礎科目
  技術者に広く求められる物理や数学科目のほか、各専攻に共通的な基礎科目、専攻での学修の基礎となる科目を配置しています。  
(3)専門発展科目
  専攻分野の学びにおいて根幹をなす科目群を配置しています。
(4)専攻領域科目
  専攻領域をより深く学ぶための科目群と卒業研究によって構成されています。
〇特色
 専攻に属さない1年次に分野共通の基礎科目を配置し、機械系、電子系、建築土木系の基礎力を広く身に付けたうえで、各専攻の専門分野を学んでいきます。
〇専攻
 「知能機械工学」、「航空宇宙工学」、「エネルギー工学」、「電子・光工学」、「建築・都市デザイン」の5つの専攻に、それぞれ履修モデルと修了要件を設定しています。
 
▼知能機械工学専攻
・機械工学の基礎となる4つの力学と制御工学をしっかりと身に付け、その応用力を養います。
・コンピュータの応用やメカトロニクス教育を重視します。
・実験や設計科目を履修することによって、ものづくりを実践的に行うための能力を身に付けます。
▼航空宇宙工学専攻
・航空宇宙工学の基礎として学んだ物理や数学を専門の分野で応用する力を養います。
・極限環境下で使用される機器などにも対応できる高度な設計技術を修得します。
・航空機や宇宙機を設計する際に要求されるシステムを統合する能力を身に付けます。
▼エネルギー工学専攻
・エネルギー工学の基礎となる機械工学と電気・電子工学をしっかりと身に付け、その応用力を養います。
・エネルギー工学の3要素である資源、輸送・貯蓄、利用・変換を横断的に学びます。
・総合的な見地よりエネルギーシステムをマネジメントできる能力を身に付けます。
▼電子・光工学専攻
・電子・光工学の基礎となる電磁気学と電気・電子回路工学をしっかりと身に付け、その応用力を養います。
・情報通信、情報処理、集積回路および電子・光物性に関する教育を重視します。
・実験・実習・研究を通じて、ものづくりとプログラミング技術を修得するとともに、電子・光材料やデバイスの専門性を高めます。
▼建築・都市デザイン専攻
・建築学、土木工学、都市工学に関する基礎を身に付け、その応用力を養います。
・意匠や構造などの設計演習や建設マネジメントの学習を通じて、ソフト・ハード両面を実践的に学びます。
・建築土木、都市を含む包括的な環境としての社会基盤・国土を支えるシステムをデザインできる能力を身に付けます。
 
■理工学群
 大学全体の共通科目に加え、物理学、化学、生命科学の3分野に関する幅広い知識を身に付けることを目的とした、専門科目を提供します。
〇カリキュラムの構成
(1)工学系共通科目
  工学全般の基礎理論・基礎概念を深く理解するとともに俯瞰的な視点を獲得する科目を配置しています。
(2)専門基礎科目
  物理学、化学、生物学などの自然科学的素養を育む基礎科学系の科目を配置しています。
(3)専門発展科目
  専門分野を学ぶうえで重要となる基幹的な科目を配置しています。
(4)専攻領域科目
  先端的な学際領域の科目と卒業研究によって構成されています。
〇特色
 ・自然科学全般を基礎から応用まで学ぶことができるカリキュラムを提供しています。
 ・直接観察やコンピュータを用いた多くの実験科目を提供しています。
〇専攻
 「応用物理」、「機能化学」、「生命情報」の3つの専攻に、それぞれ履修モデルと修了要件を設定しています。
 
▼応用物理専攻
・材料科学、シミュレーション物理などの応用物理分野に関する知識を修得します。
・物理・材料実験により、応用物理分野に関する基本的実験・測定・観察・シミュレーション技術とデータ解析法を修得します。
・卒業研究を通じて、応用物理分野の最先端研究に資する実践的な研究力を身に付けます。
▼機能化学専攻
・機能性物質の合成法や性質を理解するための基礎となる分析化学、無機化学、有機化学、物理化学およびそれらの複合的・発展的な化学分野に関する知識を体系的に学びます。
・化学実験・化学演習により、基本的な実験操作や物質の構造・機能を評価する手法を修得します。
・卒業研究を通じて、機能化学分野の最先端研究に資する実践的な研究力を身に付けます。
▼生命情報専攻
・多様な生命現象で機能する生命情報のしくみを理解し活用するために必要となる生物学基礎知識を幅広く体系的に学びます。
・生物実験や演習により、生命科学の発展的な研究開発の基礎となる基本的な実験技術を修得します。
・卒業研究を通じて、生命情報分野の最先端研究に資する実践的な研究力を身に付けます。
 
■情報学群
 大学全体の共通科目に加え、情報学に関する基礎から最先端応用までを体系的に学修できる専門科目を提供します。
〇カリキュラムの構成
(1)工学系共通科目
  工学全般の基礎理論・基礎概念を深く理解するとともに俯瞰的な視点を獲得する科目を配置しています。
(2)専門基礎科目
  専門分野の理解に必要となる基礎力を育む科目群を配置しています。
(3)専門発展科目
  3つの専門分野についての中心的な科目を配置しています。
(4)専攻領域科目
  実験・プロジェクト研究により専門分野の深い理解と実践力を培います。
〇特色
 ・情報学の各分野を幅広くカバーした科目群を用意しています。
 ・知識を応用する力を養うため、多彩な実験や演習を組み入れています。
・専門分野を深く知るために履修の順番をわかりやすく示したプレレキジット表を作成し、誰でも段階を追って学修を進められるようにしています。
〇専攻
 「AI・コンピュータ科学」、「サイバーリアリティ」、「脳情報・心理情報学」の3つの専攻に、それぞれ履修モデルと修了要件を設定しています。
 
▼AI・コンピュータ科学専攻
・ハードウェアとソフトウェアの両面への深い理解に基づき、コンピュータの新たな可能性を拓いていけるよう、AIとコンピュータ科学に関する教育を重視します。
・計算機アーキテクチャ、プログラミング言語、データベース、AIなどの知識を修得します。
・実験・研究により、機械学習応用やプログラミング技術、データ解析手法や情報通信ネットワーク技術の基礎を修得します。
▼サイバーリアリティ専攻
・VRやサイバーフィジカル空間を通じた、人々や情報システムとの間の安全で良好な関係を構築できるよう、VRメディアやサイバー空間構成技術に関する教育を重視します。
・サイバーメディア、人間と情報システムとの協調、情報通信、情報セキュリティなどの知識を修得します。
・実験・研究により、VR技術やプログラミング技術、データ解析手法や情報通信ネットワーク技術の基礎を修得します。
▼脳情報・心理情報学専攻
・人間の優れた知的・認知能力を理解し、人に優しい情報処理技術を開発できるよう、人間の知覚、心理、脳に関する教育を重視します。
・知覚情報処理、認知心理学、認知神経科学、記憶と学習、ニューロメカニクスなどの知識を修得します。
・実験・研究により、脳活動・人間応答の計測技術やプログラミング技術、データ解析手法や情報通信ネットワーク技術の基礎を修得します。
 
■データ&イノベーション学群
 大学全体の共通科目を配置するとともに、専門科目として、データ&イノベーション学に関する知識を身に付けることを目的に、AI・データサイエンスに関する基礎から応用、ネットワーク等の情報技術、経済学・心理学等の人と社会の理解に必要な基盤概念から経営・財務等のマネジメントに至る幅広い分野の基盤知識を得るための体系的な教育プログラムを提供します。
〇カリキュラムの構成
(1)工学系共通科目
  工学全般の基礎理論・基礎概念を深く理解するとともに俯瞰的な視点を獲得する科目を配置しています。
(2)専門基礎科目
  専門分野の理解に必要となる基礎力を育む科目群を配置しています。
(3)専門発展科目
  専攻分野の学びにおいて根幹をなす科目群を配置しています。
(4)専攻領域科目
  専攻領域をより深く学ぶための科目群と卒業研究によって構成されています。
〇特色
・次世代技術リテラシーを有するだけでなく、工学基礎に関する十分な素養と社会実装に必要な基礎力を網羅的に学んでいきます。
・行政機関・民間企業のニーズに即して実際の現場・課題・データを用いた課題解決型学習を重視します。
〇専攻
 「AI・データサイエンス専攻」、「デジタルイノベーション専攻」の2つの専攻に、それぞれ履修モデルと修了要件を設定しています。
 
▼AI・データサイエンス専攻
・AI・データサイエンスの背景にある原理を理解したうえで活用できる力を養います。
・多変量解析や機械学習に関する学習に加えて、情報・工学技術の活用に必要な基礎教育を重視します。
・産官学連携の実践活動により、システム創成を通して価値創造・ソリューション創出する能力を高めます。
▼デジタルイノベーション専攻
・デジタルイノベーションを行ううえで必要な、デジタル技術と諸学問を統合してデザインする力を養います。
・次世代技術のエッセンスを理解する学習に加えて、経営的視点の修得に必要な基礎教育を重視します。
・産官学連携の実践活動により、社会を多視点で分析し価値創造・ソリューション創出する能力を高めます。
 
■経済・マネジメント学群
 大学全体の共通科目に加え、経済学、マネジメント学を中心に据えつつ、社会における諸課題を解決するための社会生態分野や経済学の理解に必要な数理分野および工学の基礎を学際的に学ぶことができる専門科目を提供します。
〇カリキュラムの構成
(1)専門基礎科目
  経済学、マネジメント学に関する概論系の科目と数学、セミナーによって構成される科目群を配置しています。
(2)専門発展科目
  専門領域の理解に必要となる基礎的理論と実践を学ぶ科目群を配置しています。
(3)専攻領域科目
  講義で専門知識を深めるとともに、セミナーやプロジェクト研究によって実践力を養います。
〇特色
・2年次前期までにすべての系・専攻に共通する基礎力を身に付けたうえで、2年次後期より「経済学」「マネジメント学」のいずれかの学位取得を目指して各専門分野を学んでいきます。
 ・セミナー形式による少人数教育を実施しています。
 ・実践的な課題設定による討論形式の授業を取り入れています。
 ・国際社会で通用する力を身に付けるため、英語による専門科目を提供しています。
〇専攻
 2年次後期に、経済学の学位取得を目指す「経済系」とマネジメント学の学位取得を目指す「マネジメント系」の2つの系から1つを選択します。3年次には次の7つの専攻よりいずれか1つを選択し、各研究室に所属してプロジェクト研究に取り組みます。
 ・「経済系」の知識に立脚した「人間行動」、「経済政策」、「数理経済マネジメント」
 ・「マネジメント系」の知識に立脚した「企業・起業マネジメント」「スポーツマネジメント」
 ・「経済系」「マネジメント系」それぞれの知識に立脚した「国際経済マネジメント」「地域・行政システム」
 また、専攻と関連する領域を副専攻として選択することも可能です。各専攻にはそれぞれ履修モデルと修了要件を設定します。
 
【経済系】
▼人間行動専攻
・心理学・生理学・神経科学の融合系科目により、人間の心の特性およびその神経基盤について学びます。
・実験経済学など実験系の科目を重視します。
▼経済政策専攻
・産業組織論やファイナンス論などの経済系の学術分野を学び、市場メカニズムに対する理解を深めます。
・政治経済学や高知経済分析などの政策系の学術分野を学び、望ましい政策を見つけるとともにその実現可能性の問題を考えます。
▼数理経済マネジメント専攻
・金融論、計量経済学、プログラミング、データ分析の手法等を学びます。
・社会における様々な現象を、数理モデルを通じて理解する方法を学びます。
【マネジメント系】
▼企業・起業マネジメント専攻
・マネジメント学の中核をなす経営戦略や組織論、財務会計、マーケティング等を学びます。
・企業の分析、価値評価の方法を体系的に習得するとともに、起業に必要な知識およびスキルを身に付け実践的なマネジメント能力を養います。
▼スポーツマネジメント専攻
・スポーツ経営学、スポーツ社会学、スポーツマーケティング等、スポーツマネジメントの専門知識を学びます。
・実際のスポーツ分野に携わる人物と触れ合い、スポーツ組織の経営に関する理解を深めることで、スポーツビジネスの分野で求められるマネジメントスキルを身に付けます。
【経済系】【マネジメント系】共通
▼国際経済マネジメント専攻
・海外での研修、インターンシップ、留学などを通じて経済とマネジメントに資する国際経験を積むことを推奨します。
・英語で提供されている経済学とマネジメント学の専門科目の履修やグループ演習等により、専門的知識とスキルおよびグローバルコミュニケーション能力を養います。
▼地域・行政システム専攻
・地域経営に求められる経営戦略論、マーケティング論、産業振興論や制度設計等の知見を体系的に学びます。
・地域・行政経営を俯瞰的に捉えてシステム創造およびマネジメントするための専門性を活かした地域活性化に取り組みます