「高知県立大学利益相反マネジメント規程」(以下「規程」という。)に基づき、本学における利益相反を適正にマネジメントするため、その具体的な実施方法を以下のとおり定める。
1 利益相反マネジメント実施方法
(1)教職員等は、産学官連携活動等を行う際、法人及び大学で定められている関連規程を遵守したうえで、産学官連携活動等に及ぶ意思決定に係る手続きを適切に実施するとともに、当該活動を行うものとする。また、企業等からの個人的利益について学長に開示しなければならない。
(2)学長は、大学の社会的信頼を確保し、教職員等が安心して産学官連携活動等に積極的に参画できるよう、適切な利益相反マネジメントを統括する。
(3)利益相反マネジメント委員会(以下「委員会」という。)は、学長の指示のもと、以下の具体的な活動を継続的に実施するものとする。
ア 教職員等に対する利益相反意識啓発セミナーを実施する。
イ 利益相反に関する自己申告書(様式1)(以下「自己申告書」という。)を全教職員等から収集する(年1回以上)。
ウ 開示された情報や学内から収集した情報等を産学連携活動等の公正さの確保という観点から分析し、利益相反による弊害の発生が懸念される場合は、具体的な措置等を提案し、利益相反に係る社会的な疑義の解消や未然防止に努める。また、委員会は、自己申告書の提出状況及び内容について学長に報告するものとする。
エ 本学の利益相反に関する情報を個人情報の保護に配慮したうえで、必要な範囲で学外に公表する。
2 産学官連携活動等に関連する規程等の遵守
教職員等は、産学官連携活動等を行うにあたって、主として、以下の規程等を理解し、適切に手続きを実施することで、利益相反マネジメントを行わなければならない。外国の政府機関、大学・研究機関や営利企業等からの支援(資金、施設、設備・物品等)を受ける場合についても、同様とする。
●兼業
教職員等が兼業を行う場合、関連する以下の規程等に基づき、必要な承認手続きを行う。
『高知県公立大学法人職員就業規則』
『高知県立大学職員兼業細則』等
●企業等からの研究費等の受入れ
教職員等が企業等から研究費や寄附金等を受け入れる場合、関連する以下の規程等に基づき、必要な契約を締結する。
『高知県公立大学法人高知県立大学共同研究取扱規程』
『高知県公立大学法人高知県立大学受託研究取扱規程』
『高知県立大学奨学寄附金規程』
●物品の調達
教職員等が物品を購入する場合、関連する以下の規程等に基づき、必要な契約を締結する。購入業者の選定にあたっては、社会に対する透明性を確保する観点から、個人の利益を優先させていると見られることがないよう配慮する。
『高知県公立大学法人会計規程』
『高知県公立大学法人契約事務取扱規程』
『高知県公立大学法人契約事務取扱要綱』
『高知県立大学契約事務取扱要領』
●物品・設備の供与
企業等から物品・設備の供与を受ける場合は、関連する以下の規程等に基づき、必要な手続きを行う。
『高知県公立大学法人固定資産等管理規程』
『高知県立大学奨学寄附金規程』
●知的財産権(職務発明)に係る収入
知的財産権(職務発明)に係る譲渡や実施料に関する契約は、関連する以下の規程等に基づき、必要な手続きを行う。
『高知県公立大学法人高知県立大学職員の職務発明等に関する規程』
3 利益相反の対象事象
規程第4条に規定する対象事象の基準額等を以下のとおりとする。
(1)個人の利益相反マネジメントの対象
ア 企業等から年間総額が200万円以上の研究費等を受け入れて産学連携活動等を行う場合
イ 企業等から年間総額200万円以上の寄附(金銭、設備・物品等)を受ける場合
ウ 企業等から年間総額100万円以上の知的財産権に係る収入を受ける場合
エ 企業等から年間総額100万円以上の報酬(兼業報酬、謝金等)を受ける場合
オ 上記ア~エに関連する企業等との間で、年間総額300万円以上の取引(物品購入、業務委託等)を行うに際し、発注や仕様策定に関与する場合
カ 上記ア~エに関連する企業等の株式(公開株5%以上、未公開株、新株予約権)を保有する場合(配偶者及び生計を一にする一親等内の親族を含む)
キ 学生を産学連携活動等に従事させる場合
ク その他利益相反マネジメント委員会が利益相反マネジメントの対象とする行為
(2)組織の利益相反マネジメントの対象
ア 企業等から年間総額1,000万円以上の共同研究費を受け入れる場合
イ 企業等から年間総額200万円以上の受託研究費を受け入れる場合
ウ 企業等から年間総額500万円以上の寄附金を受ける場合
エ 企業等から年間総額1,000万円以上の設備・物品の供与を受ける場合
オ 本学が保有する知的財産権を譲渡又は実施許諾する場合
カ 企業等と包括連携協定等を締結する場合
キ その他利益相反マネジメント委員会が利益相反マネジメントの対象とする行為
4 判断基準
3の対象事象のうち、委員会で調査又は対応方策を提案すべき事例かどうかの判断基準を以下のとおりとする。
(1)本学又は教職員等の社会的責務又は職務に対して組織的又は個人的な利益を優先させていると判断される場合(狭義の利益相反)
(2)組織的又は個人的な利益の有無にかかわらず、職務以外の外部活動を優先させていると判断される場合(責務相反)
(3)職務以外の外部活動を優先させることによって、学生に対する教育面での支障が生じていると判断される場合(責務相反)
5 利益相反状況への対応
(1)個人の利益相反状況の透明性確保のための教職員等の対応
3(1)の利益相反状況にある者は、以下の該当する利益相反マネジメントを行うものとする。
ア 利益相反状況の開示
3(1)の利益相反状況にある者は、産学連携活動の成果を論文やプレスリリース等により学外に公表する場合又は研究対象者へ事前のインフォームドコンセントを行う場合等に、該当する利益相反状況について同意書等に記載し、開示するよう努めるものとする。また、以下イ及びウの対応を行った場合は、併せてその旨を記載し、開示するものとする。ただし、利益相反状況を開示することで、教育・研究活動もしくは産学連携活動等に著しく支障が生じる場合は、相談窓口に状況を説明し、適切な利益相反マネジメントを検討し、実施するものとする。
イ 必要な契約等の締結
3(1)ア~オの利益相反状況にある者は、2に記載する規程等に基づき、必要な契約等を締結するものとする。
ウ 利益相反状況下における産学連携活動等の承認
3(1)エの利益相反状況にある者が、当該企業等と産学連携活動等を行う場合は、学長の承認を得ること。
エ 学生への説明責任
3(1)の利益相反状況にある者が、当該企業等との産学連携活動等に指導学生を参画させる場合は、自身の状況を事前に説明のうえ、学生に選択の機会を与えること、また、学生の産学連携活動等への参画がその他の活動に不利益にならないよう十分に配慮すること。
(2)個人の利益相反状況の透明性確保のための組織の対応
3(1)の利益相反状況にある者のうち、委員会の調査・審議により改善が必要と判断された場合、以下ア~エの中から適切な利益相反マネジメントを行うものとする。
ア 研究責任者の交代
3(1)ア~カの利益相反状況にある者は、研究責任者を務めることができないものとする。
イ 研究等のデータ管理、モニタリング及び統計・解析への関与の回避
3(1)ア~カの利益相反状況にある者は、データ管理、モニタリング及び統計・解析業務を第三者に委託するものとし、関与しないものとする。
ウ 第三者の監査の受審
3(1)ア~カの利益相反状況にある者が、データ管理、モニタリング及び統計・解析業務を行う場合は、研究期間中に第三者の監査を受けるものとする。
エ 代表権等に係る利益相反の回避
3(1)ウ、エ、カの利益相反状況にある者が、大学と利益相反状態にある企業等の間で契約その他法律行為を行う場合に、実質的に双方の契約条件を決定できる立場にある場合は、いずれかの立場を辞す、又は当該法律行為を他の者に委任し、一方の立場では、代表権の行使を行わない、又は契約協議等に関与しないこととする。
(3)組織の利益相反状況の透明性確保のための意思決定方法
3(1)の利益相反状況にある者のうち大学としての意思決定に関与する者は、自身が利益相反状況にある企業等が関係する議題の決議を棄権し、議事録に記録するものとする。なお、関係事項の附議及び内容の説明を行うことは差し支えないものとする。
(4)組織の利益相反状況の透明性確保のための組織の対応
3(2)の利益相反状況にある場合の契約手続き等の担当部署は、契約に関連する文書を適切に保管し、社会的な疑義が提起された場合には、学長の指示のもと委員会と協力し、当該疑義を払拭すべく説明責任を果たすものとする。
6 その他
(1)相談窓口の設置
利益相反マネジメントに適切に対応するため、学内外からの相談窓口を企画調整課に設置し、大学ホームページで公開する。
(2)秘密保持及び個人情報保護
利益相反マネジメント委員会及び担当部署の教職員等は、利益相反マネジメントに係る情報について、適正に管理する。
(3)文書管理
利益相反に関する文書は、委員会において適切に管理するとともに、原則として5年間保存するものとする。
附 則
この規程は、令和7年3月6日から施行する。