第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「保護法」という。)に基づき、高知県公立大学法人(以下「法人」という。)における公益通報者の保護、公益通報の処理その他必要な事項を定めることにより、法人における不正行為等の発生抑制、早期発見及び是正を図り、もって法令遵守の徹底に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この規程において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、法人又は法人の業務に従事する場合における役員、職員(教員を含む。以下同じ。)、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、法人、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下この条において同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下この条において同じ。)をする権限を有する行政機関(保護法第2条第4項に規定する行政機関をいう。)若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。)に通報することをいう。
(1) 法人の役員
(2) 法人の職員
(3) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第26条第1項に規定する労働者派遣契約に基づき法人の業務に従事する派遣労働者(以下「派遣労働者」という。)
(4) 公益通報の日の1年間以内に前2号に掲げる者であった者
(5) 取引事業者の役員又は労働者(派遣労働者を含む。公益通報の日の1年間以内に労働者であった者を含む。)
2 この規程において「公益通報者」とは、公益通報した者をいう。
3 この規程において「通報対象事実」とは、次の各号いずれかの事実をいう。
(1) 保護法及び同法の別表に掲げる法律(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又は保護法及び同法の別表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実
(2) 保護法の別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
(3) 前2号のほか、法人の規程等に違反する行為の事実
4 この規程において「公益通報対応業務」とは、公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務をいう。
5 この規定において「是正措置等」とは、是正措置及び再発防止策を合わせたものをいう。
6 この規程において「被通報者」とは、通報対象行為を行い、又は行おうとしているとして通報された者をいう。
7 この規程において「内部公益通報」とは、公益通報のうち、保護法第3条第1号及び 第6条第1号に定める公益通報をいう。
8 この規程において「従事者」とは、内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事業の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務に従事する者であり、かつ当該業務に関して内部公益通報者を特定させる事項を伝達される者をいう。従事者は、保護法12条の規定により、公益通報者を特定させる事項について、刑事罰により担保された守秘義務を負う。
第2章 管理体制
(総括責任者等の設置)
第3条 法人に公益通報全般の適切な運営を総括するため、総括責任者を置き、理事長をもって充てる。
2 法人に総括責任者を補佐するために、副総括責任者を置き、法人本部長をもって充てる。
3 法人に公益通報に関する調査その他必要と認める公益通報の処理を統括するため、公益通報処理責任者(以下「処理責任者」という。)を置く。
4 処理責任者には、公益通報において通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている部署を所管する高知県立大学若しくは高知工科大学の学長又は法人本部の法人本部長をもって充てる。ただし、総括責任者である理事長、各部門の長である学長・法人本部長及び法人本部においては次条第1項に規定する通報窓口(法人監査室長を除く。)(以下「理事長・学長等」という。)が通報対象事実に関係する場合は、処理責任者には、法人監査室長をもって充てる。
(通報窓口)
第4条 公益通報又は公益通報に関する相談を受け付ける通報窓口は、法人本部総務部長、総務企画課長及び法人監査室長とする。
2 総括責任者である理事長は、前項のほか外部の通報窓口を弁護士に依頼することができる。
(従事者の定め)
第5条 次の各号に定める者を従事者として定める。
(1) 理事長、学長、法人本部長、法人監査室長及び監事
(2) 前条第1項による通報窓口としての法人本部総務部長、総務企画課長、法人監査室長及び同条第2項による外部の通報窓口としての弁護士
(3) 処理責任者が、第13条第1及び第2項による調査委員会の委員長及び委員並びに調査員のうち、その従事する業務に関して通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として指名する者
(4) その他総括責任者又は処理責任者が必要と認めて従事者として指名する者
2 前項第3号及び第4号による従事者の指名は、書面(様式第1号の公益通報対応業務従事者の指名通知書の例による)をもって行うものとする。
(通報体制の周知)
第6条 総括責任者は、役員及び職員等に対して、通報窓口及び公益通報の手続その他この規程に定める公益通報に係る体制等について、ホームページ等により周知するものとする。
(教育)
第7条 総括責任者は、役員及び職員等に対して、保護法及びこの規程に定める公益通報に係る体制等について、定期的に必要な教育を行うものとする。
2 総括責任者及び処理責任者は、従事者に対して、通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行うものとする。
第3章 通報処理体制
(利益相反の排除)
第8条 公益通報対応業務に従事する者は、自らが関係者となっている事案に係る通報窓口、調査及び是正措置等の検討に関与してはならない。
(通報の方法)
第9条 通報窓口への通報方法は、電子メール、郵送による書面、電話又は面談により行うものとする。
2 前項の方法による公益通報に当たっては、公益通報書(様式第2号)の例により氏名を含む必要事項を連絡するものとする。ただし、匿名であっても、通報の内容に具体性があり、当該公益通報を信じるに足りる相当の理由、証拠があると認められる場合には、受け付けるものとする。この場合において、公益通報対応業務に従事する者は、当該通報者を特定するような行為はしてはならない。
(通報窓口外への通報)
第10条 通報窓口以外の職員が公益通報を受けたときは、通報者の意向も踏まえ速やかに公益通報の通報窓口に連絡するか、又は、当該通報者に対して公益通報の通報窓口に公益通報するように助言するものとする。
(通報者の責務等)
第11条 通報者は、公益通報するに当たっては、客観的で合理的な根拠に基づき、誠実に通報をするよう努めなければならない。
2 通報者は、虚偽の通報、他者の誹謗中傷、その他不正の目的で通報を行ってはならない。
3 通報者は、会話の当事者以外の者は当該会話を聴き取れない状況において、会話の当事者のいずれの同意も得ないまま無限定に行う無断録音(無断録画を含む。)等著しく不適当な方法によって通報対象事実に関する情報を収集することは行ってはならない。
4 法人は、前2項に違反した者に対して、高知県公立大学法人職員就業規則(以下「就業規則」という。)に基づき懲戒処分等を行うことができる。
5 通報者は、自身が通報者であること及び公益通報の内容に係る情報の重要性を認識し、通報者本人からの情報流出により通報者、被通報者が特定され、また、関係者の人権が不当に侵害されることのないよう留意しなければならない。
6 通報者は、ハラスメント、公的研究費の不正使用、研究活動の不正行為その他に関し、通報、調査又は是正措置等の実施について、別に定める規程等があるときは、当該通報事案に対応する適切な窓口に通報を行うものとする。
(通報の受付と通知)
第12条 通報窓口として通報を受け付けた者は、郵送その他通報窓口への到着を通報者が確認できない方法によって通報がなされた場合、匿名又は通知を希望しない場合その他やむを得ない理由がある場合を除き(第5項、 第13条第9項及び第14条第2項において同じ。)、当該公益通報を受領した旨を速やかに通報者に通知するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、通報窓口として通報を受け付けた者において、この規程によらず他の適切な窓口で対応すべき事案であると判断した場合は、通報者に確認のうえ、当該事案に対応する適切な窓口へ引き継ぐものとする。
3 通報窓口として通報を受け付けた者は、受け付けた通報(前項により他の窓口へ引き継いだ通報を除く。)の内容について、公益通報受付報告書(様式第3号)により、副総括責任者である法人本部長に、法人本部長は総括責任者である理事長に報告する。さらに、通報対象事実が高知県立大学又は高知工科大学において生じ、又は、まさに生じようとしている旨の通報内容である場合は、法人本部長は、処理責任者である当該大学の学長に報告するものとする。
4 前項の規定にかかわらず、理事長・学長等が通報対象事実に関係する場合は、通報窓口として通報を受け付けた者は、法人監査室長が通報を受け付けた場合を除き、前項と同様の方法により、処理責任者である法人監査室長に報告する。処理責任者である法人監査室長はさらに監事に報告するとともに、副総括責任者である法人本部長(法人本部長が通報対象事実に関係する場合は除く。)及び総括責任者である理事長(理事長が通報対象事実に関係する場合は除く。)に報告するものとする。
5 処理責任者は、第1項の通報(第2項により他の窓口へ引き継いだ通報を除く。)について、調査を実施しない正当な理由がある場合を除き、調査を実施する旨を通報者に通知する(調査を実施しない正当な理由がある場合は、実施しない旨を通知する。)。ただし、処理責任者が法人監査室長の場合は、通報者に通知するに当たり、調査の実施の要否を監事と協議するものとする。
6 処理責任者は、前項の通知内容である調査の実施の有無を副総括責任者である法人本部長(法人本部長が処理責任者となる場合は除く。また、法人本部長が通報対象事実に関係する場合を除く。第13条第8項及び第14条第2項において同じ。)及び総括責任者である理事長(理事長が通報対象事実に関係する場合を除く。第13条第8項及び第14条第2項において同じ。)に報告するものとする。
(調査と通知)
第13条 処理責任者は、前条第5項において調査を実施することを決めた場合は、調査委員会を設置し、又は、職員の中から調査員を指名し、事実関係の調査を行わせるものとする。
2 前項の調査委員会を設置する場合、調査委員会の委員長及び委員は、職員及び外部の第三者のうちから、処理責任者が指名する。
3 前項により外部の第三者を指名する場合には、当該通報事案について中立性及び公正性に疑義が生じるおそれ及び利益相反が生じるおそれがない専門家を指名しなければならない。
4 第1項の調査委員会及び調査員は、法人内において必要な調査を独立して行うことができる。
5 第1項の調査に当たっては、通報者及び当該調査に協力した者(以下「調査協力者」という。)が特定されないよう、調査の方法に十分配慮しなければならない。ただし、実効的な調査を行うために調査協力者に対して、通報者の情報あるいは通報者の特定につながり得る情報を伝達することがやむを得ない場合には、次の措置を講じるなどして、通報者につながり得る情報が他に伝達されないように、調査の方法に配慮しなければならない。
(1) 伝達する範囲を必要最小限に限定すること
(2) 伝達する相手に対して、通報者を特定させる事項の漏えいは懲戒処分等の対象となる旨の注意喚起をすること
6 役員及び職員は、通報された内容の事実関係の調査に際して、調査委員会又は調査員から協力を求められた場合は、正当な理由がある場合を除き、調査に協力しなければならない。また、調査を妨害する行為をしてはならない。
7 第1項の調査においては、被通報者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
8 調査委員会又は調査員は、調査結果を速やかに取りまとめて処理責任者に報告し、処理責任者は副総括責任者、総括責任者及び監事に報告する。
9 処理責任者は、調査結果について、被通報者及び当該調査協力者の信用、名誉及びプライバシー等に配慮しつつ通報者に通知する。
(是正措置等と通知)
第14条 処理責任者は、前条第1項の調査の結果、通報対象事実があると認めたときは、速やかに通報対象事実の中止その他是正に必要な措置及び再発防止策を講じるとともに、不正に関与した者に対して懲戒処分等のための措置を講じることができる。
2 処理責任者は、前項の規定により是正措置等を講じたときはその旨を副総括責任者、総括責任者及び監事に報告するとともに、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、通報者に速やかに通知するものとする。
3 処理責任者は、前条第1項の調査の結果、通報対象事実があると認めたときは、必要に応じて関係機関へ遅延なく報告を行うとともに、通報者、被通報者及び調査協力者等の信用、名誉及びプライバシー等に配慮しつつ、当該通報、調査結果及び是正措置等の内容のうち必要と認められる事項を公表する。
4 処理責任者は、前条第1項の調査の結果、通報対象事実がないと認めたときは、その旨を通報者に速やかに通知するとともに、当該通報により関係者の名誉が害されたと認めるときは、当該関係者の名誉を回復するために必要な措置を講じなければならない。
(事後措置)
第15条 処理責任者は、前条第1項の規定による是正措置等を講じた後、次の各号について確認しなければならない
(1) 通報対象事実の再発がないこと。
(2) 是正措置及び再発防止策が機能を果たしていること。
2 処理責任者は、前項に基づく確認の結果、前項各号のいずれかに該当しない事実があると確認された場合には、必要な措置を講じなければならない。
(記録の適切な管理)
第16条 通報窓口で通報を受け付けた者及び処理責任者は、通報窓口において受け付けた通報への対応に関する記録を作成し、通報者の機密保持に配慮のうえ、適切な方法で、対応後10年間保管をしなければならない。
(運用実績の開示)
第17条 総括責任者及び処理責任者は、通報窓口に寄せられた公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲内に おいて役員及び職員に適宜開示するものとする。
(点検及び改善)
第18条 総括責任者は、公益通報処理体制について、適宜、評価・点検を行い、必要があると認める場合は、公益通報処理体制を改善する等の措置を講じなければならない。
第4章 通報者の保護
(不利益な取扱いの禁止等)
第19条 役員及び職員は、通報者及び調査協力者に対して、公益通報をしたこと又は通報対象事案に関する調査に協力したことを理由として、不利益な取扱い(解雇その他役職員たる地位の得喪に関すること、降格その他人事上の取扱いに関すること、減給その他経済待遇上の取扱いに関すること、及び事実上の嫌がらせ等精神上・生活上の取扱いに関すること、その他一切の不利益な取扱いをいう。以下同じ。)をしてはならない。通報者及び調査協力者は、公益通報や当該調査に協力したことによって、いかなる不利益な取扱いも受けることはない。
2 処理責任者は、公益通報の処理後、通報者及び調査協力者が公益通報をしたこと又は通報対象事案に関する調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを受けていないかを適宜確認し、不利益な取扱いを受けたことが判明した場合、適切な救済・回復の措置を講じるとともに、当該不利益な取扱いをした者に対しては、懲戒処分のための措置その他適切な措置を講じることができる。
(範囲外共有及び通報者の探索の禁止等)
第20条 役員及び職員は、通報者を特定させる事項を必要最低限の範囲を超えて共有する行為(以下「範囲外共有」という。)及び通報者を特定しようとする行為(以下「通報者の探索」という。)をしてはならない。
2 処理責任者は、範囲外共有が行われたことが判明した場合、適切な救済・回復の措置を講じなければならない。また、範囲外共有又は通報者の探索を行った者に対しては、懲戒処分のための措置その他適切な措置を講じることができる。
(懲戒処分等の減免)
第21条 当該通報対象事実に関与した者が、自主的な通報又は調査協力をする等、問題の早期発見及び解決に協力した場合、その状況に応じて、当該者に対する懲戒処分等を減免することができる。
(秘密保持及び個人情報保護)
第22条 この規程に定める業務に携わる者は、職務上知り得た通報の内容及び調査で得られた個人情報について秘密を保持し、また、不当な目的に使用してはならない。業務に携わらなくなった後も、又、退職後も、同様とする。
第5章 その他
(外部からの通報)
第23条 第2条第1項各号に定める者以外の者からの通報については、この規程に定める公益通報の例に準じて取り扱うものとする。
(他の規程等の関係)
第24条 この規程のほかに、ハラスメント、公的研究費の不正使用、研究活動の不正行為その他に関して、通報、調査又は是正措置等の実施について、別に定める規程等があるときは、その定めるところにより取り扱うものとする。
(規程の所管)
第25条 この規程の所管は、法人本部総務部総務企画課とする。
(委任)
第26条 この規程に定めるもののほか、公益通報に関して必要な事項は、理事長が別に定める。
附 則
この規程は、平成23年4月1日から施行する。
附 則
この規程は、平成27年4月1日から施行する。
附 則
この規程は、平成30年4月1日から施行する。
附 則
この規程は、令和2年4月1日から施行する。
附 則
この規程は、令和4年11月1日から施行する。